不動産を任意売却するメリットとデメリットを徹底解説

住宅ローンを返済できなくなった場合、不動産は債権者(住宅ローンの借入先)によって競売にかけられます。

競売にかけられる前に債務者が債権者の承諾を得て、不動産を市場価格に近い価格で売却することを「任意売却」といいます。債務者にとって競売と任意売却の違いとは何か、債務者が任意売却を行う場合のメリットとデメリット、任意売却を行う場合の条件や重要なポイントについて、分かりやすく解説します。

■競売と任意売却の動向

住宅ローンの返済ができなくなった場合、不動産を競売にかけずに売却をする「任意売却」という方法があります。裁判所の司法統計データによると、競売にかけられる担保不動産競売(不動産等を目的とする担保権の実行としての競売等)の件数は、平成19年度の51,430件から平成29年度は18,570件となり、36%減となっています。[注1][注2]

 

景気の影響なども考えられますが、任意売却が浸透し、競売手続きに入る前に任意売却する案件が増えていることが考えられます。

 

[注1]裁判所:101表 民事執行既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所(pdf)

http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/495/003495.pdf

 

[注2]裁判所:第4表 民事・行政事件数―事件の種類及び新受ける, 既済, 未済―全地方裁判所及び地方裁判所別(pdf)

http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/807/009807.pdf

 

 

■不動産を任意売却する3つのメリット

諸事情により住宅ローンの支払いが困難になったときの救済手段が「任意売却」です。ここからは、この任意売却を行うメリットを3つご紹介します。

 

①任意売却を行うことで不動産を市場価格で売却することが可能となる

住宅ローンを2回~3回ほど滞納すると督促が届き、さらに延滞を続けると債権者(住宅ローンの借入先)は、不動産の競売手続きを進めます。競売にかけられると、債務者の意思や要望とは関係なく不動産が売却され、立ち退きを命じられます。さらに、競売では市場価格より安価で売却されることが多く、ローンの残債が多く残った状態で一括返済を求められます。

 

そのため競売後、自己破産を検討する方も多くいますが、自己破産をしても連帯保証人がいる場合は連帯保証人へ残債返済の責任が移行することになるので、簡単に自己破産を選択できないのも現状です。このように競売にかけられる前に、債権者の承諾を得て市場価格で売却を行えるのがメリットの1つです。

 

②少しでも高い価格で売却できればローンの残債を減らせる

任意売却の場合、少しでも高い価格で売却できればローンの残債を減らせます。また、任意売却を行うことにより、無理のない範囲で返済できるよう、残債の分割返済について債権者と協議することが可能です。

 

③任意売却を行うことにより精神的な負担も軽減できる

住宅ローンを滞納することにより、債務者には債権者から督促が来ます。さらに、現在の生活だけでなく今後の生活への不安も重なり、債務者は金銭的にも精神的にも大きな負担がかかります。

 

任意売却を選択した場合、債権者から督促が止まります。また債権者とのやり取りは基本的には任意売却の依頼を受けた不動産会社が行いますので、金銭的な不安を軽減するだけでなく、精神的にもストレスや不安を軽減できます。

 

また、任意売却の場合の販売方法は一般住宅と同じ扱いになるため、周辺住民に知られない配慮をすることも可能です。

 

■不動産を任意売却するデメリット

競売と比較した場合、任意売却のデメリットはありません。ただし任意売却を行うにはいくつかの注意点はありますので

 

①債権者の承諾を得る必要がある

任意売却は、債権者の承諾を得られなければ、任意売却を行うことはできません。

債権者は任意売却を推奨しているため基本的には応じてくれますが、債権者が複数ある場合(抵当権設定が複数ある場合)は少々やっかいです。仮に2番目以降の抵当権者への支払い金額が不服で任意売却に応じない(抵当権の抹消に応じない)となっては、任意売却はできません。

 

複数の債権者がいる場合の任意売却は、任意売却を対応する担当者の力量が非常に重要になります。

 

②任意売却にはタイムリミットがあり必ず売れるという保証はない

任意売却の期間は3ヵ月~6ヵ月と限られています。買主が見つからない場合、売却価格を値下げすることもあります。

 

また、見つかった買主が住宅ローンの本審査に落ちるという場合もあります。任意売却を行ったとしても、期間中に売れない可能性があることは事前に理解しておく必要があります。

 

仮に期間中に売れなった場合、競売手続きに移行しますが、入札の前日までは平行して任意売却活動を行うことが可能です。

 

■任意売却を成功させるためには

①任意売却をするには専門家への相談が必須

任意売却を行うには、不動産売却手続きなどの専門的知識のほか、債権者との度重なる交渉が必要です。債権者が承諾をしてくれなければ任意売却を行うことはできません。

そのため、知識と経験のある専門家からサポートを受けることが任意売却を成功へ導く重要なポイントです。任意売却できる期間は限られているので、ローン返済ができなくなったときには、1人で悩まずに、できるだけ早く信頼できる専門家を見つけ相談することが大切です。

 

②任意売却を成功させるためには債務者自身も積極的に協力をする

任意売却の手続きや交渉は専門家に任せたとしても、物件をよりよい条件で購入してもらうためには、債務者自身の協力も必要です。購入検討の方の内覧などに積極的に協力するだけでなく、購入したいと思ってもらえるように、売却する不動産は清潔に整理整頓し、魅力的な物件にしておくことも大切なポイントです。

 

③早めに専門家へ相談することが任意売却を成功させるポイント

やむを得ずローンの支払いができなくなったとき、それが一時的で近いうちに毎月の返済ができるのであれば、まずは住宅ローン借入先に事情を説明して、返済相談をすることをお勧めします。

もし、返済できる見込みがない場合は、できるだけ早い段階で任意売却の専門家に相談をすることで、任意売却も有利に進められます。

また任意売却を行うことで残債を少なくし、返済計画の目処がつけば、金銭的・精神的にも不安が軽減されるでしょう。

 

以上です。